『もしも…万が一、ひとり親である私が亡くなってしまったら…』
そんなことを考えたことは一切ありません!という母親はいないと思います。
保険はたくさん必要ない、加入するのは必要最低限でいい。
その必要最低限の保障はどのように考えて行けば良いのか考えてみましょう。
遺族年金と収入保障保険
そもそも収入保障保険ってどんな保険なの?
前回、医療保険は公的医療保険(社会保険)や高額療養費との計算をして足りない分だけ備える…って考え方ができるということだったけど、『収入保障保険』と『生命保険』は同じように考えればいいの??
そもそも…収入保障保険っていう保障内容が分かっていないかも??
基本的には考え方としては合っていますよ!
社会保障制度には遺族年金(遺族厚生年金)と言う制度もあるのでそこを視野に入れて考える事、そのうえでもし万が一の時にいくら足りなくていくら必要なのか、保険料を保障内容は自分に合っているのか…と言う事を見て行く必要はありますね。
選択肢の一つとして収入保障保険がありますので、まずは、収入保障保険の保障内容やどういった保険なのか…と言うことを知っていきましょう。
収入保障保険とは
では、収入保障保険とはいったいどんな保険なのかを詳しく見て行きましょう。
収入保障保険は、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に、残された家族が毎月一定額の給付金や年金を受け取れる生命保険の一つです。
簡単に言うと、シングル家庭のお母さんが亡くなってしまった時に残された子どもたちに毎月一定のお金が支払われるものです。
この保険は、世帯主(主に、父親・母親)の収入が途絶えた際に家族の生活を支えるために設計されており保障されている期間や保険金の受取額も期間が決まっている保険です。
主な特徴
仕組み
- 保険期間は一定期間(例:60歳まで、20年間など)に限定されています
- 給付金や年金は保険期間満了まで毎月受け取ることができます
- 保険期間の経過とともに、受取総額は減少していきます
受取方法
- 年金形式:毎月定額の給付金や年金を受け取る方法
- 一括形式:保険金を一時金で受け取る方法(ただし、総額は年金形式より少なくなります)
保障内容
一般的には死亡・高度障害保障ですが、保険会社によってはガンや三大疾病の保障も含まれるものあります。
メリット
- 家族の生活資金を確保:世帯主に万一のことがあっても、残された家族の生活を支えることができます。
- 割安な保険料:貯蓄機能がなく、保障額が逓減するため、同じ保障内容の貯蓄型保険と比べて保険料が安くなります。
- 計画的な資金活用:年金形式で受け取れるため、遺族は計画的に保険金を活用できます。
なるほど。
保険期間が一定期間、万が一の時に、子どもたちの生活費になるような金額が受け取れるようになっているんだね。
そうなんです。
一定額が毎月支払われることによって子どもたちの生活が安定するようにできています。
保険会社の商品によっては三大疾病時に受け取れる保障もありますが保険料が割高にはなりますので必要保障だけ考えていきましょう。
メリットだけでなく、デメリットの面も考えて保障を理解することが大事です。
デメリット
- 掛け捨て型:解約返戻金がない、または少額の場合が多いです
- 受取時の課税:給付金や年金の受取時には税金がかかります
- 保障額の逓減:保険期間の経過とともに受取総額が減少します
念のためデメリットも表記してみましたが、正直、収入保障保険に関しては一定期間のものですし、貯蓄性は求めない方が良いと思います。
貯蓄性のある保険は保険会社が契約者から預かった保険料を一部「運用」に回すことでわずかながらの解約返戻金にして解約時に契約者にお返しするものです。
運用効率も最低基準利率も低く、仮に100万の保険料を支払ったとしても解約返戻金は100万戻ってくるわけではありません。
(契約締結時にお客様にお話しをさせていただいてますが…お客様自身の理解ができておらず、苦言になることも実際あります。)
収入保障保険に関しては逓減性があり、受け取り保障額が下がっていくものです。
そこに対して不安を感じるということもあるかと思うのですが、『お子さんはいつまでもちいさいわけではない…いつかは経済的な自立をしていく大人になる』と言うことを頭に入れて最低保証を考えて加入した方がおすすめです。
遺族年金と必要な収入保障保険の金額
みなさん、では実際にご自身に万が一何かあった時の生活費と遺族年金の支払い額などでどのぐらいの保障が必要なのかを考えてみましょう!
遺族年金の受給額
遺族基礎年金
2024年度の遺族基礎年金の基本額は816,000円です。
これに子どもの人数に応じた加算額が加わります:
- 1人目と2人目:それぞれ234,800円
- 3人目以降:1人あたり78,300円
例えば、子どもが2人いる場合の年間受給額は以下のようになります
816,000円 + 234,800円 × 2 = 1,285,600円
毎月10万円ほどの支給となるわけです。
正直…これだと子どもたちの生活だけでなく学費も到底賄えたものではないですよね…。
もう少し具体的な金額を出すためにはどうしたら良いのか…そこを考えてみましょう。
必要保障額の算出
収入保障保険の必要額を算出する際は、以下の計算式を基本として考えていきます。
必要保障額 = 支出見込額 – 収入見込額
支出見込み額としての考慮事項
- 基本的な生活費
- 教育費
- 住居費
- 急な出費のための貯蓄
収入見込額の考慮事項
- 遺族年金
- その他の継続的な収入
上記に書かれていることを元に例として 子ども二人、都内で暮らして…と考えていくと遺族年金が月に10万円として…
おそらく20万円ほどの収入保障保険の保障額を考えても良いかもしれません。
18歳の年度末で遺族年金が終了した後、遺族厚生年金は受給されることもありますし、その分の資金があったとして…でも高校卒業後、すぐに就職して月額25万のお給料がもらえる人がどのぐらいいるでしょうか?
具体例
子ども2人(18歳以下)のシングル家庭の場合:
- 遺族基礎年金:年間1,285,600円(月額約107,133円)
- 必要生活費:月額30万円と仮定
- 不足額:月額192,867円(300,000円 – 107,133円)
この不足額を補うために、月額約20万円の収入保障保険が必要と考えられます。
シングル家庭の収入減の厳しさ…
シングル家庭の場合、特に注意したい事として次の二つが主に挙げることができます。
- 収入源の限定: 主たる収入源が1人しかいないため、その喪失による影響が大きくなります。
- 遺族年金の重要性: 遺族基礎年金が主要な収入源となるため、その額を正確に把握することが重要です。
シングル家庭の場合、もともとの収入源も1人しかいないということや、取り残された子どもたちが生計を維持できるか…などを考えた場合、難しい状況を加味して慎重に検討することが重要です。
収入保障保険は、残された子どもたちの生活費…と考えた時に、圧倒的に足りないものが
『学費』
となってくるわけです・・・
子どもたちの学費はどう考えるか…
遺族年金と収入保障保険での生活費を考えるとどうしても学費は賄えない部分が出てきます。
子どもたちの進学先によってになりますがおおよそ掛かる金額を比較してみようと思います。
学費と遺族年金の受給額(事例:11歳・15歳子ども二人が残された場合)
※母親の年収に基づく計算が必要ですが、目安として年収300万円の母親の場合
項目 | 公立高校 | 私立高校 | 国公立大学 | 私立大学(文系) | 私立大学(理系/医療系) | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
年間学費(目安) | 約45万円 | 約100万~150万円 | 約54万円 | 約100万~150万円 | 約200万円 | |
3年間高校学費(目安) | 約135万円 | 約300万~450万円 | – | – | – | 公立:約135万 私立:約300万~450万 |
4年間大学学費(目安) | – | – | 約250万~300万円 | 約450万~600万円 | 約650万~800万円 | 国公立:約250万~300万 私立:約450万~800万 |
兄弟2人分合計 | 約870万円 | 約2500万円 | 最小:約870万円 最大:約2500万円 |
遺族年金の受給額
項目 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | 合計 |
---|---|---|---|
年間受給額 | 約144万円 | 約70万円 | 約214万円 |
受給期間(15歳までの子) | 144万円 × 3年 = 約432万円 | 70万円 × 3年 = 約210万円 | 約642万円 |
受給期間(11歳までの子) | 144万円 × 7年 = 約1008万円 | 70万円 × 7年 = 約490万円 | 約1498万円 |
合計受給額 | 約1440万円 | 約700万円 | 約2140万円 |
遺族年金と学費の比較
進学パターン | 学費(合計) | 遺族年金受給額 | 不足額 |
---|---|---|---|
全て公立・国公立進学 | 約870万円 | 約2140万円 | なし(十分にカバー可能) |
高校・大学ともに私立 | 約2500万円 | 約2140万円 | 約360万円不 |
- 学費(最小額):遺族年金で全額カバー可能。
- 学費(最大額):360万円程度の不足が生じる可能性あり。
この場合、生活費を加味していないので360万の不足となっていますが実際はもう少し厳しい状況になることも予想されます。
生活費・学費を考えた時の不足額
生活費と具体的な不足分を具体的に表にしてみましたので見て行きましょう。
生活費と学費の合計
進学パターン | 生活費 | 学費 | 合計 |
---|---|---|---|
公立・国公立進学 | 約300万円 × 7年 = 約2100万円 | 約870万円 | 約2970万円 |
高校・大学ともに私立 | 約300万円 × 7年 = 約2100万円 | 約2500万円 | 約4600万円 |
不足額
進学パターン | 生活費+学費の合計 | 遺族年金 | 不足額 |
---|---|---|---|
公立・国公立進学 | 約2970万円 | 約2140万円 | 約830万円不足 |
高校・大学ともに私立 | 約4600万円 | 約2140万円 | 約2460万円不足 |
収入保障保険の必要額
収入保障保険は、毎月20万円(年間240万円)の生活費補填を目的として考えましょう。
以下は保険金額の計算です。
必要な保障期間
- 上の子が18歳になるまでの3年間+下の子が18歳になるまでの追加4年間。
- 合計期間:7年間。
必要保険金額
毎月の給付額 | 年間給付額 | 保障期間 | 必要総額 |
---|---|---|---|
20万円 | 240万円 | 7年間 | 約1680万円 |
- 不足額(生活費を含む)
- 公立・国公立進学の場合:約830万円。
- 高校・大学ともに私立進学の場合:約2460万円。
- 収入保障保険の必要額
- 毎月20万円の給付を目指す場合:約1680万円の保障額が必要。
- 毎月20万円の給付を目指す場合:約1680万円の保障額が必要。
この計算に基づき、学費不足や生活費のリスクを考慮した保障を設計することが重要です。
各ご家庭の事情や子どもたちが大学に進学するかどうか…そのあたりの事も視野に入れる事は大事になってきます。
まとめ
保険と公的な保障と大事な事…相談先
たーたんの考えとしては、「保険は最低保証で備える」「必要最低限」と言うことを大事にしていますが、自分の万が一に備える保障に関しては一定額必要と考えています。
収入保障保険・掛け捨ての死亡保障に関しては子どもたちの一定年齢と学費の不足額を計算して
ライフプランを立てることが重要になってきます。
医療保険と同じように公的な保障というものは日本にはたくさんあり、十分な保障ではないものの、やはりある程度はあるものです。
(社会保障制度は改悪はありますが今のところ無くなる…ということは無いと思います。)
保険の考え方や心配、ライフプランの相談も今後はしていきたいと思っています。
また、遺族年金の詳しい受給額を知りたい場合は以下の相談先も参考にしてみてくださいね!
1. 日本年金機構(JPS)
- 遺族年金の詳細な情報や計算方法を公式に確認できます。
- 遺族基礎年金や遺族厚生年金、併給調整のルールなども網羅されています。
- 利用方法
- 公式ウェブサイト: 日本年金機構 遺族年金のページ
- 年金相談ダイヤル: 0570-05-1165 (受付時間:平日8:30~19:00、第2土曜は9:00~17:00)
2. 年金事務所
- 各地にある年金事務所では、個別の年金額や具体的な受給条件について相談できます。
- 利用方法
- 最寄りの年金事務所を検索: 全国の年金事務所一覧
- 事前に予約することをおすすめします。
3. 社会保険労務士(社労士)
- 年金のプロフェッショナルで、複雑なケースや併給調整について詳しいアドバイスを受けられます。
- 利用方法
- 社労士会の公式ウェブサイトで相談可能な事務所を探す。
- 初回相談は無料の場合もあります。